無限のリヴァイアス

無限のリヴァイアス Vol.9 [DVD]

無限のリヴァイアス Vol.9 [DVD]

 なんか評され方が?な作品なので、見直している。主人公の相場昴治が、へたれと言われたりすることが特に違うだろとつっこみたくなるところ。とりあえず8話まで見たのでその1ということで。
 昴治の優れている点の一つは、状況判断能力の高さだ。それ以外に優れているところはないと言っていい。実行力もない。けれど彼は、その力を使って自身のできることをやれる人間だ。現実から目を背けずに、その現実を自身の所属する集団にとってより良い現実へと組み替えようとする努力を、どれだけの人間ができると言えるのだろうか? 彼は天才ではない。天才ではない故に、現実を革命的によくするようなことはできない。だが現実を判断し、己がなせることはなにか自身へ問いかけ、それを為す。人間に必要な能力は、十分にもっているのだ。
 彼は常に「あるべきこと」に対して、できることを探して行っている。それは表層だけで判断すれば、コウモリと見られるのかもしれない、へたれと言われるのかもしれない。ただ彼は目的を間違えないし、目的にそって判断し続ける。だから彼が主人公であり、誰とでもなんとなく仲良くなれるのだ。
 弟の祐希と比較してみよう。彼のジレンマは兄が兄らしく振舞ってくれないことへの怒りなのだと思う。兄という存在に、いつまでも超えられない壁であり、自身を導いてくれる存在でいて欲しい、弟はなんとなく期待してしまうものなのだと思う。*1だから彼はブラコンなのだ。
 祐希にとって「理想」がまずあって、現実というのはそれに向かっていくもの、という前提があるのではないか。だから現実に頭を下げて、少しずつ良くしていこうと考える昂治に反発するのではなかろうか。だからイクミに反抗期と呼ばれるのだ。
 全てを見直してから、また語るとしても、このリヴァイアスで描かれるであろうものは「妥協、手段、結果、理想、現実」そういった、何かをなすときに生じる「判断」なのだろう。それはコードギアスが手段と目的という二軸に落とし込んで分かりやすく提示しているのと同様に。
 ここで昂治を全肯定しているが、この話が群像劇という点で、他のキャラクターにも焦点をあてないと読み取りとしておかしなことになるだろう。掘り下げが進めば進むほど話はさらに複雑に、錯綜していくだろう。相場昂治を軸として、さらに深く追求したい。
 そして相場昂治がここから更に、どんな飛躍を見せるのか、監督はどのように成長させようというのか。続きが気になる。

*1:僕もそういう気がある