王様の仕立て屋

 いわゆる読みきり連載。
 職人ジャンプとして広く認知されるスーパージャンプの、職人マンガが一柱。

王様の仕立て屋 サルトフィニート 大河原遁

お話

 suit――スーツ、背広
 自動詞では「合わせる」という意味をもつこの言葉。そう、背広は着る人に「合わせて」作られる。
 イタリアのナポリの泥棒市に居を構える織部悠は、スーツ職人である。サルトフィニート「極めし職人」と呼ばれた男の腕を引き継ぎ、悠は「人生に合わせたスーツ」を作る。まさに彼は全ての客の、王様の仕立て屋なのだろう。

魅力

 僕には丁度いいオタネタ。
 以上と言いたいところだけど、テンポが妙に良い作品なんだよなぁ。薀蓄も多く、スーツ自体の奥深さやら散りばめられた本質的でないところが非常に面白い。本筋がなかなか進まない、というかあるのか? と思うんだが、どうにも読むのがやめられない。最近あんまり見ないタイプのマンガな気が済んだが、どうもこういうの好きだなぁ。
 真面目に言うと、一つの哲理、あるいは美感が作品に貫かれているのは稀有なことだし、この作品の本当の素晴らしさはここにあるのではないかな。