健全な批判

 批判は重要。自浄作用や問題提起、論点・視点の整理に大きな効果をもつから。*1
 けどよい批判もあれば、わるい批判もある。よい批判はどんなものかをちょっと考えてみた。よい批判は正確な読解と自己批判からくる。
 ネットばかり見てるとバカを見る - 萌え理論ブログで綺麗な批判がなされています。これを例にしてお話を進めますね。
 ところで僕には批判能力がほとんどないので、とても羨ましい。批判には読解力がいるけど読解力がそもそもないから。

議論のまとめ

 例にあげた「ネットばかり見てるとバカを見る」は情報格差──これから始まろうとしている本当の格差社会:らばQへの反論です。この記事の

 パソコンでインターネットが使える人、携帯電話しか使えない人との間に、猛烈な情報格差が産まれます。その情報格差はそのまま学習や仕事の成績に直結するようになるでしょう。

 つまりは経済格差に繋がるわけです。

 という結論に対して、

ちょっと考えてみれば分かることだが、現在の収入格差は情報格差ではなく、職業間の賃金格差に基づいている。

 と言っています。*2
 他にもさまざまなところを引いて反論をし

「収入格差=情報格差は自己責任」などという、わけの分からない話になりかねない。

 と述べています。つまり構造的な――個人では解決しにくい問題を、個人の行動次第でどうにでもなる問題にすり替えていることを痛烈に批判しています。

 すなわち

どの組織に所属したかによる大きな大きな格差社会が待ち受けているのです。

 この結びによって一見ふつうの事を言っているように見える、矛盾した論説の問題点をはっきりとさせていますね。

よい批判とは

 システム*3の問題はシステムの問題として論じられるべきです。個人の問題にすり替えられてはいけません。
 個人の問題は個人の問題として論じられるべきです。システムの問題にすり替えられてはいけません。
 情報格差──これから始まろうとしている本当の格差社会:らばQでシステムの問題を個人の問題とごちゃ混ぜにして語っているのをネットばかり見てるとバカを見る - 萌え理論ブログではシステムの問題へと還元しています。それが凄い。

 ではよい批判とはどういうことか、抽象的に考えます。

  1. 文章の読解
  2. 各論の検討
  3. 結論の検討
  4. 自己批判

 1、相手の論説を解体し、その論説はなにを問題にしてなにを語り、どのようにすべきかと言っているかを明らかにすること。論説は一つの問題のみを取り扱っているか、もしくは二つ以上の関連する問題を取り扱いどのように結びつけているかを明らかにすること。この時点で矛盾がでているなら、はっきりと指摘する。

 2、各論の論理を明らかにすること。データの扱いは正しいか、齟齬・矛盾が存在しないか。あれば指摘する。

 3、結論が論理を明らかにすること。各論に対して結論に齟齬・矛盾が存在しないか検討し、反証をあげたり、問題提起をしたりする。

 4、最後に自分の批判は相手が問題としていることに対しての批判かそうでないか、相手の文章の何が問題かをはっきりと指摘しているかを、批判的な態度で行う。

 こんなところでしょうか。id:sirouto2さんは(4に関しては僕には分かりませんが、よそから見る限り)ちゃんとなさっています。僕の場合、2、3に終始して阿呆なことを良く言ってしまいます。気をつけないと。*4

わるい批判とは

 わるい批判は、1,2,3,4が十分になされていない批判ですね。議論をまぜこぜにしてあべこべにしますもんね。2chの荒らしが丁度逆を行っているような気がします。観察してみてください。

最後に

 情報の共有というネット最大のメリットをより大きくするためには、情報自体の価値があがらないと。手軽に発言できるメリットによって、情報価値を気軽に下げないようにちょっと気をつけていきたいものです。
 だから批判精神をもつと共に批判の方法についても思索してみてください。

おまけ

 ぶっちゃけ僕のいう事を自身で全く信じられないので反論・批評希望。
 それにこの話の逆を行けば、簡単に荒らせるはずだって思った人が荒らし始めたら情報の価値を下げちゃうよな。世の中難しい。

*1:他にも学問は疑問をもつことから始まるとか色々言いようはあるだろうけど

*2:引用部分は僕の引いたところとは違います

*3:例では社会

*4:気をつけてもそもそも頭が悪いという問題があるのですけど