烙印の紋章

微SFファンタジーの軍記物。戦争ですべてを奪われた少年剣奴が、策謀に巻き込まれて皇太子の影武者となり、英雄としての道を歩むというお話。
 
世の中には「おおきなもの」がありますよね。国家でも、運命でも、歴史でもいい。
そういった「おおきなもの」は蜃気楼みたいにあやふやでハッキリと見えないものなのに、確実に人を支配する。
「おおきなもの」に巻き込まれたり、流されたり、そして流されていることすら気づかないの普通です。でも、そういった「おおきなもの」に巻き込まれる自分を知ったら、やはり不快ですよね。
烙印の紋章』は戦争で「おおきなもの」にすべてを奪われた少年が復讐を誓う話です。復讐の相手は村を焼いた将軍なのか、国家なのか、それとも人を殺す戦争なのか、あるいは運命なのか。それはわかりません。
ただ「おおきなもの」を知って、対峙しようとする。それだけで物語は実に魅力的に輝くのが不思議です。
作者の方がもとはSFから本が好きになったということですから、「自由意志」にまで踏み込んで話を書いてくれるのではないかなと期待しています。
この先も面白い話が広がっていくといいな。