OnePiece

ONE PIECE  1 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 1 (ジャンプコミックス)

ワンピース 尾田栄一郎
 漫画の読解力を鍛えるべく、修行の一環として五巻まで読んでみた。
 やっぱセンス良いよなぁ。二巻で敵の海賊、バギーの登場シーンって多分『AKIRA』の鉄雄のパロディだと思うんだけど、それだけで上手さが分かるよね、というお話。
 そういうセンスや上手さは凄いけど、やっぱこの作品きついなー。というのも僕がもう大人になってしまったからだ。この話って「子供の価値観」が「大人の価値観」を打ち破る話なんだよね。麦わら海賊団のキャラクターって根本的に他者を必要としていない。それって他者が不在の世界=子供の世界なわけで。
 それを思春期を過ぎてもなお保てる彼らは間違いなく強者だ。弱者の弱さにも弱者の強さにも、強者の弱さにも共感できるけど、強者の強さには共感できない僕がしみったれなだけではある。
 大人の社会って基本的に強者を装う弱者のための理屈でほとんど出来ていると思うのだけど、まぁそれは欺瞞ではある。ただ世の中強者より弱者の方が圧倒的に多いので、民主主義で資本主義な世の中、どうしようもない話でもある。自分の中の子供の価値観を守るために、大人の価値観を身に着けようとしている僕にはなんとも心苦しい。
 今の世の中、子供にも大人の価値観を押し付けようとするような風潮があるように見えるので、こういう作品は需要があるだろうし、ちゃんと続けられるというのは嬉しい話だと思っている。ただ弱者にも弱者なりの、敗者にも敗者なりの誇りがあって、それを貫くことは決して奴隷の倫理ではない、というところまで語ってくれないと、へたれにはしんどい。
 とまぁ、かなり多くの人に意味不明なつぶやき。
 いずみのさんが対比にもってきたのは良くわかる、つもりでいるけど指摘の本質かどうかまでは知らない。とりあえず落ちは、青い鳥はすぐ傍にいました、冒険こそが財宝(ワンピース)だったのです、だと思う。それ以外に解答はあるのかな。