落下傘ナース
- 作者: 厘のミキ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/01/19
- メディア: コミック
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病理服従救済冒涜…共依存ヤンデレサイケデリック。「落下傘ナース」 - たまごまごごはんで紹介されていてたので、購入・読了。まったく正反対の読み方をするだろうなと思い、読む前からレビューの内容を考えていたのですが、大体そのとおりのお話でした。
全体の感想としては、もうちょっとキャラの内面に踏み込めばイイのにもったいないな、と思った。
お話
幼なじみのチトセと文子、二人の間には約束がある。チトセが困っていたら文子が助ける。二人は子供のころからずっと、そうやってきた。チトセが電話をすれば、文子はどんな時でも駆けつけて、チトセを守ってくれる。文子の生きがいはチトセを守ることだから。
けど文子にも限界がある。人間だから。
町の不良からチトセを守って傷ついた文子。ボロボロになって、もう死ぬしかないときに、チトセと文子はサイボーグナースと出会う。サイボーグナースは怪我を引き受けて文子を治すと、注射器で自分の怪我を吸い取った。
けれど、出会ったサイボーグナースは外科専門で、脳の損傷は引き受けられなかった。文子はチトセを守ることを忘れてしまう。
チトセは彼女に守ってもらうために、文子の脳の損傷を治そうとサイボーグナースに改造させる。
紹介
このマンガのキャラクター類型は、チトセは『変身』のザムザで文子は『芋虫』の時子ですね。
- 作者: カフカ,Kafka,山下肇,山下萬里
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/09/16
- メディア: 文庫
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- 作者: 江戸川乱歩
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/07/25
- メディア: 文庫
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チトセの文子に対する幼児性を治せるとを聞いて「せっかく育ててきたのに」という発言と「日に当たらなければ色あせない」という発言にあらわれています。
チトセは自分を助けるのに8分遅れた文子を「失敗は失敗だ。裏切りだ」と評しますが、まさに彼らの関係においては、チトセを這い回るしか脳のない毒虫へと造っていった文子が、チトセを助けるのが遅れるのは裏切りと言えるでしょう。
チトセの怒りとは、文子への依存と自らの手足を奪った文子への憎しみのジレンマなのです。
実際には手足もあってこれから成長していけるけれど、180Gの盾を使い続けるしかないと言い切るチトセもへたれですけどね。チトセが自立したところで現状では文子に殺されるだけでしょうが。
この作家さん、女性なのですかね? チトセも今の文子を作り上げているだろうことは、わりあい無視して描かれているように思えるので。
このお話は成長や自立といったプロセスを描くものではないと考えられますので*1、人の心のグロテスクな部分をみて安心*2したい方にオススメです。