北杜夫

北杜夫 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9D%9C%E5%A4%AB
 ここ一年ほどゆっくりと読み進めています。勝手に故人にしていたんですけど、ご存命なんですね。
 なんで故人にしていたかというと、こんなに格調高い文章を書く方って明治から精々昭和初期の「文豪」と呼ばれるような人しかいないためです。
 読んでいて驚かされるのは、その観察眼。風景の美点を一節に約めて表す力は本当に驚嘆します。
 また、特徴的なのは硬質でありながら懐の深い文章。硬質で観察力が強ければ、冷たい印象を持つものですが、何故か暖かみのある文章です。
 中編小説である『少年』が入るのには良い様に思います。明るい作風を好む方であれば『どくとるマンボウ』シリーズからでしょう。
 文章の美に酔える作家は貴重ですから、未読の方はぜひ。