のだめカンタービレ

 出会いがあれば別れがある。今いる心地よい空間が、いつかはなくなると知りながら人は関係に執着する。季節の変わり目、あるいは年の改まるとき、あらゆる節目節目に、いくつもの巣立ち。
 巣立ちの節目が成功によって訪れることもあるだろう。失敗によって訪れることもあるだろう。人が生きていく中で味わう出会いも別れも、必然であり自然だ。
 二宮知子の描く、人の流れは余りにも自然だ。

のだめカンタービレ(19) (KC KISS)

のだめカンタービレ(19) (KC KISS)

 酷薄でもなく、華美でもなく、真実そのままの人の流れ。ただそれだけのことが、物語に美しい清流を作り出す。
 清流にはあらゆる人の情が流れている。人もまた情に棹して流されていく。そこには喜びも、悲しみも、苦しみも、愉しみもある。
 だから彼らは歌うのだ。人生という川の流れを、世界を、その美しさを。